けものみち

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タイピングに復帰して約2年経ったけどどう変わりました?

この記事は「タイパー Advent Calendar 2021」の18日目の記事になります。

adventar.org


こんにちは。今回でタイパーアドカレ2021は3記事目になります。

今回の記事はタイピングに復帰してから現在に至るまでの自分の変化について書いていきます。

復帰のきっかけ

何度かお話ししていますが、大学4年生の時に大学院入学試験の勉強に飽きて、暇つぶしに復帰したら楽しくなってそのまま復帰したという感じです。

(このブログに院試の合格体験記がありますが、自分のラボは学部4年の進級時に2枠を10人で争い、さらに院試で首席付近の成績を取らないと生き残れないという地獄の年でした。なので、相当前からちまちまと対策しており、飽きてしまっていましたw)

復帰の前まで

記憶があいまいですが、実力としては

  • 毎パソ:英文A優勝、和文は最高全2
  • e-typing:腕試しローマ字日本語で 550程度が最高?

程度でした。

自分の意志でやっていた、というより大会があるからとりあえず出ておくか、ぐらいの感覚でダラダラ続いて、毎パソの全国大会参加権利が高校生までであることと受験が重なったのを機に引退していたという感じです。毎パソ勢だとよくある光景かもしれませんね。

タイプウェル、歌謡勢あたりだと「〇〇さんに憧れて始めた(続けている)」という人も結構いらっしゃる印象ですが、わたしの場合、毎パソで全国一位になるために自分以外滅んでくれ以外の感情がありませんでした(失礼すぎる)。

そして、これがまさしく「井の中の蛙」とも言える話ですが、当時はこれで自分がランカーに値するものだと思い込んでいました。

タイパーの方ならお察しの通り、エタイ腕試しローマ字550は、平均と比較して速いほうだけどそれなりに層の厚みはあるレベル帯なので、今思うとかなり見ている世界が狭かったなと感じます。当時はSNSをやっていなかったことや、タイプウェル、歌謡などの存在も知らず、タイパーとの交流も一切なく孤立していたので仕方なかったともいえそうですが。

RTC を知る

復帰してまもなく、REALFORCE Typing Championship があることを知ります。

予習のために過去の大会の動画を見たり、予選でエタイが使われるので該当する回のランキングを見たりしましたが、ここで果てしない絶望感を味わいます。

ここにきてようやく、自分はまだ広い世界を知らなかったんだなと、わかってしまうのでした。

ダメもとでとりあえず予選に挑むものの、全く歯が立たず終了。

ここで心が折れるのが普通の人ですが、負けず嫌いなのがここで現れたのか「大会(大海)を知れたんだから、頑張ってみるか」となぜか前向きになってしまうのでした。

ここから2年間で変えたこと

ここからは、この絶望からの2年間、具体的に何が変わったかを書いていきます。

キーボード

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いままでHHKB Professional(2006年製!) を使っていたのですが、RTC の予選の時期に家電量販店に行き REALFORCE の試打をしたところ、あまりにも心地よすぎたので REALFORCE SA for Mac を買いました。

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現在も特に変わらず REALFORCE メインで打っています。

キーボードは HHKB、REALFORCE のほかに実は TypingTube さんの企画で好きなキーボードをプレゼントするキャンペーンに当選していたので、もう一つ持っています。

こちらはUS配列、Bluetooth 対応、七色に光る、赤軸のキーボードです。 これもかなり打ち心地が良く、US配列なので英語の練習用に利用しています。 七色に光るうえ、光り方のパターンもその日の気分に合わせて変えられるため、とても重宝しています。

やはり自分の好みのキーボードを見つけて指を馴染ませるのは大事かなと感じます。

練習スタイル

今まで毎パソや e-typing でしか練習したことがなかったため、ほかのサイトでも練習するようにしました。

復帰初期のころはタイピング速度測定さんあたりをよく使っていたと思います。

ある程度タイピングの感覚が戻ってきてからは Weather Typing をメインにランダム・短文の練習を強化していきました。

自分のスタイルが「スピードも持ちつつ正確さも絶対に落とさない」「実用性の重視」であることから練習時には

  • 最低でも精度95%以上、基本は98%以上の精度、できれば99%以上
  • 力まない
  • 大会時以外はワードに過剰に適合しない

あたりを心がけています。

精度については、RTC の失格規定を基準にさらに厳しめに設定しているのですが、元毎パソ勢であり、ミスがあると著しい減点が入ることや、和文だと特に BackSpace での後退のタイムロスが大きいという感覚に慣れているのであまり普段は苦労することはないです。精度があると記録の再現性も高まりやすいですし、実用面でもブログ記事や技術記事書いたりするときに、読み返して誤植がたくさんあると萎えるのでかなり重視してます。

音ゲーの某大会のファイナリストが「精度の乱れは心の乱れ」なんて言ってたりしますね。もしかしたら通ずるところがあるかもしれませんw)

力まない、についてはスタミナを維持するため、乱打をしないため、単に「無駄のない動きのほうがかっこいい」と感じているために設定をしています。

ワードに過剰適合しない、についてはこれはスコアを出すためにやっている方からすると奇妙に思えるかもしれません。同じ文章ばっかり打っていると「その文章、ワードセットには強いけどほかのワードや練習サイトだとまったくもってダメ」という現象が発生しうるし、変な打鍵の癖がつきやすいのでワードを意識して覚えるということはしないです。あとは勉強面だと語彙力を増やしたいという意味もあります。

タイパーとの交流

練習記録を Twitter でシェアするようになってから、タイパー界隈の方と相互フォローの関係になることが増えました。

たのんさん主催の Warriors of Typing に参加したり、京都の寺町 a-cho さんにある TOD で対戦オフ会をしたり、Discord 上でゲームをしたり...と交流の機会は圧倒的に増えたと思います。

交流の機会が増えたこと自体はいいことなのですが、それに伴って自分自身の発言がほかの人に見られる回数が増えてきたため、練習記録関連の発言にはかなり気を遣うようになりました。

具体的に、練習結果のツイートに「下手くそ」「全然ダメ」などのマイナスな言葉を使うのを意識的に避けるようになりました。それなりに実力があるのに「下手」などとつぶやくことにより、第三者の方が「ああ、あの人が下手って言ってるならわたしはもっと雑魚だ...」などと知らないうちに傷ついてしまう可能性があることや、そもそもマイナスな発言自体あまり気持ちの良いものではないからです。

練習結果をつぶやくときはうまくいったポイントと改善点を具体的に記述するように心がけています。例えば「前半はノーミスでしかもスピードも保てていて上手だった。後半は疲れが来てしまってもったいないミスを連発してしまったので前半もう少しスタミナを温存すべきだったかもしれない」というようにツイートをします。こうすることで、自分自身の反省にもなりますし、第三者にとっても「あの人はこういうことを意識しながら練習しているのか!」と発言から推測しやすくなるので、双方にとってメリットになると考えています。

また、同様に自分自身のタイピングの実力についても過小評価するような発言や記述は控えるようになりました。「中堅」「最上位層」の定義は主観的であることや、それなりに実力があるのに自分のことを過小評価して「中堅」「最上位層ではない」「自分はまだまだ雑魚」などと表現するのはあまり快いものではないと感じているので、こういった表現を避けています。

この辺は、自分が高校生~大学生時代にほかの学生が口癖のように「あのテスト〇点しかとれなかった」「全然だめだった(平均点60点のテストで100点中95点)」みたいな発言を見ていてかなり気持ち悪いなと思っていたところからもきています。自分自身を過小評価するような発言をして自分の何を守りたいのかさっぱりわからないですからね。

積極的な情報発信

2019年のタイパーアドベントカレンダーからかなりタイピング関連の情報発信をすることが増えました。

2019年~2020年のあたりは主に上達論という名の体験記が多かったですが、そういう記事は書こうと思えばどんなタイパーでも書けるだろうな、と思ってしまっているので、ここ最近は自分自身が情報学を専攻していることから「新規性があって、面白そうなこと」「技術的に面白そうな話」「自分目線じゃないと語れない話」を中心に発信しています。

例えば2021年だとこれとか代表的ですね。

drakscake.hatenadiary.com

本当にアイデアを思いついてからモデル化、データ収集、実装、シミュレーション、ブログ化まで半日でやったので、スピーディーさでいうとかなり高いと思います。

(とある記事で、スコアの分布のヒストグラムを見た目だけで判断して「対数正規分布っぽい」と言っていて「ほんまか??せめてちゃんとモデル作ってパラメータ推定してフィットしろ」って思っていたのはここだけの話)

話題としては割とニッチめな話なのに思いのほか反響があってびっくりしていました。理論面は丁寧に解説しつつ、直感的な意味もちゃんと説明したので数式が苦手でも読みやすいようにしてありますし、最悪数式読まなくても最後の結果だけ読めば楽しめるようにもしており、スピーディーさの中にある程度工夫も盛り込んだ記事でありました。

(普通に創作キャラのイラスト描くより見られていたかもしれません)

ほかに象徴的なものだとこれですかね。

qiita.com

上の記事は 2019年のタイパーアドベントカレンダーの記事ですが、そこから1年半の放置を経て発展させていき FoxTyping のベータ版をリリースすることができました。まだ粗いところや実現したいけどできていないものも多くありますが、その辺は追って整備していて自分なりのユートピアを作っていければいいのかなと思っています。

qiita.com

その FoxTyping の開発過程で、ローマ字日本語タイピングの例文生成、判定の部分が非常に実装が大変でめんどくさかったのと、開発者がいちいちこれを書いていては車輪の再発明どころか車輪の劣化版の生産が何度も行われることになるだろう、と思ってこちらの記事を新たに2021年12月に書きました。ローマ字日本語タイピングの実装の肝となる部分を具体例を挙げながら丁寧に解説し、開発を手助けするライブラリも配布してしまうというものです。将来的にローマ字日本語タイピングゲーム、ソフトなどを開発する人がこれを利用して開発効率アップしてくだされば個人的にめちゃくちゃうれしいです。

現在のモチベ

もちろん打つこと自体も楽しんでいますが、自身の専門性を活かしていくことに対してかなりモチベがあります。

2022年はタッチタイピング関連の面白そうな論文を読んでみて紹介するとか、そういうプチ企画があってもいいかもしれません。

FoxTyping の開発のおかげで、配列、言語間でのスコアの出しやすさの違い、文章の認識の仕方、ゲームデザインといった幅広い観点からタイピングというものを眺めることもできるようになった気がします。タイピング練習サイト、ゲームに対してバグ報告や改善案、自分の理想をただ投げつけるだけなら誰でもできてしまいますが、実際に一個人で開発するとなった場合、現実的にどこまで需要を満たすように実装できるのか、どれくらいのコストがかかってどれくらいリターンがあるのか、といったような感覚を持てるのは開発者ならではかもしれませんね。

あとは、ここに書いてしまうとアイデアを取られるので書きませんが、手元のメモに秘めているやってみたい実験とかものちのちやってみて紹介できたらいいかなと考えています。

復帰してから約2年間でものすごくタイピングに対する姿勢は変わりました。

最初こそひたすらタイピングの実力を伸ばしたい!という気持ちでひたすら打っていましたが、ここ最近は「正確で高速な打鍵を求めつつ、開発や記事の執筆、勉強もするマルチタイパーとしてキャラが確立しつつあるのかもしれません。できることが増えると大変ですけど楽しいですからね。


前日の記事:Alpha0099 さんによる「Alpha0099よ、1年間何してたんだ」

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