けものみち

まったりと、きのむくままに。

「趣味はキーボードの早打ち、タイピングなんですけど」

この記事は「タイパー Advent Calendar 2021」の2日目の記事になります。

adventar.org

ツイッターで見てます、タイピングめっちゃ速いですよね」

f:id:WhiteFox-Lugh:20211201114348j:plain

タイピング復帰した2019年以降、着実に練習を積み重ねて実力をつけ、練習サイトでも結果を残してきました。 その結果、少しずつ自分の存在が注目され始めて、古参のタイパーの方とも交流することが多くなりました。

これまで、タイパー同士の交流が薄かったため、タイピング界隈にこんなに強い人がたくさんいたことを知ることができて自分にとってはとても嬉しいことでした。

また、一部のツイッターフォロワーの方を見ると、「わたしもタイピング頑張ってみようかな」と新しくタイピングをゼロからスタートしてくださった方もいたり、 タイパー界隈以外の方もちょっと久しぶりにタイピングしてみよう、といった風に、自分を起点としていい影響を与えることができているように思います。 オンラインではなく、オフラインで初めて会った方にも「タイピングめっちゃ速いですよね」と言われることもあったくらいには、自分のイメージの中にタイピングという存在が芽吹いているようです。

わたしは、昨年の2020年アドベントカレンダー

世の中の人が少しでも「タイピング楽しいじゃん」と思ってくれる人であふれるように、わたしたちが積極的に発信していけるようにすることが、タイピング界隈の将来を明るくするものだと筆者は感じます。

と書いていたのですが、学業、研究、アルバイト、ほかの趣味などを並行しながらも、このことは一個人としてできる範囲ではある程度成功しているのではないかと感じます。

「趣味はキーボードの早打ち、タイピングです」

タイピングの腕に関して、日本語、ローマ字に関しては(一般人からすると)かなり卓越した技術を身に着けた、という自信をもっています。

なので、2020年の秋ぐらいから始めていた就職活動でも、最初の自己紹介で

「趣味はキーボードの早打ち、タイピングです」

と言っていました。

興味を持ってくださる方だと「どれくらい速く打てるんですか?」と聞いてくださるので、「だいたい秒速15打鍵ぐらいで、一番速いと秒速20打鍵とか超えるペースで打てます」というと、驚いた表情をしてくださったこともあります。

こんな調子で、初対面の方にもタイピングの存在を少しでもアピールできるように心がけていました。

ある日のことでした。

とある方と初めてお会いした時のことでした。

全然タイパー界隈とは全く関係ない界隈の方だったので、そちらの話題で盛り上がっていました。

そこで、たまたま趣味の話題に切り替わって自分の趣味を聞かれたときに、「趣味はキーボードの早打ち、タイピングです」と、キタキタと思わんばかりの定型文でタイピングの話を切り出しました。

「へぇ~、タイピングですか、なんというか...映えない感じですねえ」

といった感じの返事がきました。食事をしていたのですが危うく食べ物を落としかけました。

映えない。

......

......

見映えしない地味な趣味だ、というのは重々承知だったはずですが、いざこんなにストレートに、初対面で言われてみると結構ショッキングだったわけです。

確かに、趣味がスポーツとか楽器演奏とか、そういうのだとイメージも付きやすいし、有名どころの趣味だとイメージも付きやすいから、華やかに見えるわけです。 オリンピックもあったし、トップアスリートが活躍している姿は、人に感動すらも与えます。

一方でタイピングは、結局「文字を入力するために必要な手段でしかない」というのがおそらく普通の人の感覚なんだなと、このときわからされたわけです。

多少、失礼だな、とは思いながらも、タイパー界隈という存在によってフィルターバブルやエコーチェンバーがかかっていた世界から、この一言で少しだけ抜け出せたような気がします。

  • 「フィルターバブル」:見たくない情報を遮断して好きな情報だけ見られるようにすること
  • 「エコーチェンバー」:似たような興味関心を持った人同士がつながった結果、似たような意見しか返ってこなくなること
  • フィルターバブルもエコーチェンバーも、どちらも思想の偏りを非難する意味でつかわれることが多い用語です

「...そんな速く打てて何になるの?」

そういえば、以前にこんなことを言われたこともありました。

速く打てて何になる...と言われると、今まで本当に純粋に「〇〇 pts だしたい!」と記録を追っていた自分が少しばかばかしく思えてきます。

ちょっと返答に詰まったのですが、幸い自分は、こういった記事を書くことや、文章を読むこともたまにあったため、「タイピングが速くなると、長い文章を打っても疲れにくくなる」「速く打てるようになると、文章を打つことより、内容を書くことに集中できるようになるし、誤字も減る」といった実用方面の話で切り抜けることができました。

実用方面の話をすると割と納得してくださる感じはありますが、正直なところ、まずそういうこと言うアナタがある程度打てなきゃそんなこといっちゃダメでしょ...とは思っているところはあります。ですが、大人な対応をするべきなのでひっそり心の中にしまっておきます。

ホームポジションってあるけど、あれって...打ちづらくない?」

一般的にホームポジションは、指をまんべんなく使うので手の負担が少なく、速度も担保できるので一つの確立されたタイピングスタイルとなっています。

タイパーの方であればご存じの方も多いかと思われますが、もちろん、これはあくまで一つのスタイルであって、小指をリストラして運指を組んでいる、ホームポジションと比べて指の使い方が特定の指に偏っている状態でトップタイパーになった人もいます。

しかし、やはり一般の方にとっては「ホームポジションが正しくて自己流じゃ実はダメなんでしょ...」と思う人がいたり、そもそも最初から自己流なのでホームポジションというものを知らなかったというように認識がばらばらであるようです。

タイピングを始めたばかりの人に最初ホームポジションの存在を教えたうえで、自分に合わなければ崩してもいいよ、と教えられるような環境が整備されていくといいと感じました。 2021年はそんな初心者の人に焦点を当てた某タイピングゲームがリリースされたのもあるので、普及に期待です。

自分は、ホームポジションの形がきれいに残っているので、あまり強くおすすめすることはできないのですが、「ホームポジションって小指とか使ったりして打ちづらくない?」って言われたときは「全然崩してもいいんだよ」と教えることにしていますし、納得感を持たせるために、タイパーの運指を集めたサイトでこんな指づかいの人もいると実際に見せることもあります。

「速く打てなければ、技術に頼ればいい」

これは競技プログラミング界隈でいわゆる「暖色コーダー」と呼ばれる実力者のとあるツイート内容を簡潔にまとめたものです。

エンジニアの方だとよくコードを書きますが、そこにはエディタによってインテリセンスという機能があります。

f:id:WhiteFox-Lugh:20211201124354p:plain

例えば、Get と打ってみると、こんな感じで、予測変換機能のように何を打とうとしているかを予測して候補をしてくれます。 これはめちゃくちゃ便利で、関数名や変数の名前をいちいち覚えずに、一部分打っただけで全部補完してくれるので、非常に重宝します。わたしも使っています。

しかし、その方のツイートを吟味してみると、「タイピングなんて練習しなくても、インテリセンスのような便利な機能を使えばよい」というような内容だったので、自分は少しばかり反論をしたいわけです。

コンピュータに対して文字を入力するには基本的にキーボードを使うわけです。したがってタイピングの技術がなければまず快適に文字を打つという行為ができないわけです。

その前提があって、ある程度打てるようになったとしても、いつもエディタで入力補完をしてくれるといった都合の良い機能がついているわけではありません。 ましてや、このようなブログ記事を書く時や、ツイッターなどのSNS、Slack や Discord などのチャットではそんな都合よく自分のうちたい文章を補完してくれることなどほぼないわけです。

プログラミングのコーディングにおいて存在する便利な機能に溺れてしまったせいで、基礎的なタイピングスキルをないがしろにしてもかまわない、という発信があったことに、少し危機感を覚えてしまいました。

そういう便利な機能を使うな、と言っているのではなく、便利機能に使い慣れる→タイピングをする、では順序が逆で、タイピングができるようになる→便利機能を使ってより素早く、正確に作業がこなせるようになる、であってほしいなとわたしは主張したいです。

「趣味はキーボードの早打ち、タイピングなんですけど」

こういう感じで、客観的にタイパー界隈の外からタイピングというものを見つめなおすと新しい発見があったり、自分の意見を述べる機会があったりして面白かったかなと思います。

タイピングは映えない、といった耳の痛い話もあったせいで、「趣味はキーボードの早打ち、タイピングなんですけど」と、ちょっと言葉の最後に自信のなさや不安が現れるようになってしまいましたが、これからも少しずつタイピング関連の技術や楽しさを伝えていければいいのではないかと思います。


次の 12/03 の記事

drakscake.hatenadiary.com

前日の 12/01 は「たのん」さんによる「タイピングイベント開催の経験談を語ります」です。

note.com

毎パソ全国元常連が語る、毎パソの予選、全国大会のツボ

f:id:WhiteFox-Lugh:20210617173113p:plain

こんにちは。今日はあまり情報として語られていないような毎パソの練習法や心得などについて書いていきたいと思います。

今回は、和文と英文について詳しく記述していこうと思います。

自分の毎パソ経歴

かなり古くから参加しているのと全国大会常連でした。 2006~2010までは和文部門、2011~2013は英文部門で出ていました。

和文は最高全国2位、英文は最高全国1位でした。

記憶があいまいなのですが、確か和文、英文ともに予選を勝ち抜き全国大会出場権を得た場合でもどちらか一方しか参加できなかったと思います。 もしできていたら、絶対2部門掛け持ちで参加しているはずです。

直近の大会だと開催形式が異なっている場合もあるので以下それに留意して読んでいただきたいです。

毎パソの競技形式(予選)

毎パソの競技形式は以下のようになっています。

第5部、第6部 和文

与えられた課題文(日本語の文章)を正しくソフトの指定箇所に入力する。競技時間は5分。 漢字やカタカナ、記号など変換も含めてすべて正確に打つこと。

第3部、第4部 英文

与えられた課題文(英語の文章)を正しくソフトの指定箇所に入力する。競技時間は5分。


課題文が何かはのちに説明するとして、要するに与えられた課題文章を丸々正しく転記しなさい、ということです。

一般的なタイピングゲームのように、ランダムに出現する単語や短文などをいかに速く正確に打つのかではなく、固定の課題文を打つ点や、日本語では漢字などへの変換も行うこと、間違えた場合 BackSpace やキー操作、マウス操作などで指定箇所に戻り修正をし、最終的に課題文章にどれだけ忠実に打てているか、というようにかなり実用性を重視した競技となっています。

youtu.be

ダラダラと書きましたが、この動画を見れば一発だと思います。

スコアについては以下の計算式となっています。

(正解文字数)ー(間違えた文字数)+(特別点)

正解文字数はひらがな、カタカナ、漢字、数字記号それぞれを1文字とカウントします。 間違えた文字数のカウントは「大会」を「退会」と打ってしまうような誤字、「こんにちは」を「こんにちちは」と打つように余分に文字を打ってしまう余字、「こんにちは」を「こんちは」と打ってしまうように脱落してしまう脱字、改行ミスをそれぞれ1文字とカウントします(詳しくは実際にやってみるのがわかりやすい)。

特別点は特殊で、間違えた文字数が3文字以内だと与えられるボーナス点です。ミス文字数が3文字だと正解文字数の5%、2文字だと正解文字数の10%、1文字だと正解文字数の15%、ノーミスだと正解文字数の20%追加で得点が入ります。小数点以下は切り上げになります。特別点がかなりデカいです。

ミスカウント規定として、和文と英文では9文字以上ミスタイプがあると問答無用で失格となります。 特別点のことも考慮すると、スピードより圧倒的に正確性重視です。

5ちゃんねる(当時2ちゃんねる)では「えっ、5分で〇〇文字なんて xx kpm ぐらいでしょ。普通じゃん」とかいうクソみたいな書き込みは散見されましたが、何が何でも正確性重視です。

禁止規定としては公式サイトには以下のように書いてあります。

●禁止、注意事項(6月・秋季・冬季・全国大会共通)

【禁止事項】

下記の禁止事項が行われた場合は、事前事後にかかわらず失格となります。

1.IMEやATOKなどの学習機能、予測変換機能、入力支援機能の使用

※予測変換について

プロパティの予測入力タブにて設定ができます。

仮に使用する設定であっても、変換操作の際、実際に打鍵した文字よりも長い文を変換候補リストから選択しなければ問題ありません。

2.事前の単語登録

3.代理受験

4.コピー機能、貼り付け機能の使用など、このコンクールの趣旨にそぐわない操作

5.指定された日時、時間以外で主催者の許可のないまま行った競技

6.競技中、会場内の競技委員の指示に従わない場合

7.その他、ソフトウェアによる自動入力などの特殊な操作

8.運営委員会で不適切な行為と認められた場合

9.パソコン、キーボード、マウスの持ち込み(全国大会のみ)

10.故意による複数回受験(結果データの送信をキャンセルし、再度受験した場合も含む)

ここで気を付けなければいけないのは「予測変換の使用禁止」「コピー&ペースト禁止」あたりだと思います。

予測変換の使用禁止はかなり気を付けないといけません。自分が実際に出場した予選だと例えば「いぬ」という単語が課題文を通してすべて漢字の「犬」ではなく「イヌ」だった回があり、「いぬ」と打った時まず最初に漢字の「犬」がでてくるのですが、「イヌ」と打たないとダメなので毎回必ずスペースキーを押さないといけない事例がありました。うっかり予測変換機能を使い、予測変換でトップに「イヌ」を出すように設定を変えてはいけません。予選だからばれないやろ、と思うかもしれないですが、成績上位者はあとで予選の様子を動画で提出するように指示される可能性があると公式サイトに書いてあるので、その措置があった場合、おそらくばれるでしょう。

コピー&ペーストも規定文に書いてある通りコンクールの趣旨にそぐわないからだめなのですが、同じような単語が出てきたときにあらかじめその単語をクリップボードに入れておいて、そのワードが出てくるたびにペーストすると打鍵数より多く文字数が打てる場合があるので禁止にも近いと思います。 例えば、課題文章中で何度も「supercalifragilisticexpialidocious」という語が出てきたとします(こんなことはないと思いますが...)。いちいちこれをミスタイプなく打つのは難しいのでこれをコピペしておき、出てきたタイミングで Ctrl+V を押すとミスタイプもせず、長い単語をたったの2キーで打ち終えることができます。これは極端すぎる例ですが、こういう行為はダメだいうことです。

毎パソの競技形式(全国大会)

基本的に予選とほとんど同じ形式ですが、以下の点が異なります。

課題文が初見

予選では課題文章を何度も練習して暗記したうえで本番を一回だけ行うことができますが、全国大会では競技開始の直前まで課題文を知ることができません。初見力が非常に試されます。このため、予選のスコアより大幅に下がる人が続出します。

課題文が紙に印刷されている

先ほどの動画では、ソフトの上部に課題文が表示されていましたが、全国大会ではパソコンのディスプレイの横に紙に印刷された課題文章が置かれています。 小さな相違点に見えますが、出場経験がある人からするとこれが結構やばいです。

何がヤバいかというと、まず単純に視線の移動がめんどくさいです。予選ではディスプレイの上部に課題文、下部に自分が打ち込んだ文章が表示されるので、もしミスタイプなどでずれがあると発見しやすいですし、課題文を見失う可能性もそこまで高くありません。

一方で紙とディスプレイを行き来する場合、本番の緊張感もあって「今どの行を打っていたんだ?」と見失うことがありますし、ミスタイプしたときの気づきにくさが格段に上がります。日本語なら母語なのでまだしも、英語だと非常に見失いやすく、一行見間違えて段ズレしたと思われる事例も少なくありません。

そして単純にページをめくるのがめっちゃめんどくさいです。本番の緊張感のせいで、なぜかうまくめくれなかったり、めくった後ブックリーダーに立てたつもりが課題文章が落下したりと不慮の事故が多発します。あとほかの人がページめくる音が先に聞こえるとなんとなく「あの人の方がもっと打ってるんだ」と不必要な焦りも生じます。

とにかく、ディスプレイに課題文が表示されるのと紙に課題文が印刷されているのとでは大きく違うということを感じ取っていただければと思います。

キーボードが既定のモノしか使えない

全国大会では、大会運営側が公認している REΛLFORCE と PFU のキーボードの2種類のうちどちらかしか使用できません。

あらかじめ入手しておくと打鍵感がわかっていいかもしれませんが必須ではありません。 ただ、これらの(メカニカル)キーボードと大きく打鍵感が異なるキーボードを普段使いしていると本番でつらい思いをする可能性が非常に高いです。

これらを踏まえて...

なんとなく毎パソの形式がざっとわかったところで、本題です。

予選はどうやって練習すればいいの?

これは答えは単純で、究極的には課題文章をひたすらやりこめばいいです。

やりこみ要素やポイントとして

  • 課題文章を暗記する
  • 自分で変換の区切りを覚える
  • 変換の際に単語ごとに何回スペースキーを押せばいいか覚える
  • 変換ミスや誤字脱字しやすいところのチェック
  • 競技終了直前に変な文字を打ち込まないようにする(クソ大事。これで何十点消えることもある)
  • 入力ペースを覚える(だいたい1分でここまで行けていればヨシ!みたいな)

あたりがあります。

もちろん、毎パソ形式に慣れるだけではなく、単純に単語の練習や短文の練習といった基礎練習も必要ですが、本題から外れるので書かないことにします。

全国大会の練習方法は...?

先ほども述べたように、全国大会は初見の文章になります。だからといって何も対策ができないかというとそういうわけではないですね。 以下に、自分がやっていた練習方法を書いておきます。

予選の課題文の復習

コンクールが終わったらその課題文は捨てず、逆に覚えるくらい練習しましょう。利点として2点あります。

1点目は文章をあらかじめ知っていて打てる量と初見で打てる量の差を把握することができる点です。これがわかっていれば、ほかの人の過去のスコアと自分の実力から本番でとるべき戦略を練ることができます。

自分の実際の事例で当てはめます。

英文Aの全国大会への切符を獲得したときは実は予選4位でした。予選1位、2位の人は3位、4位(自分)と比べて400点以上差がついており、普通にスピード勝負ならおそらく勝てませんが、予選1位の人は全国大会でミスが多く毎年失格になっている、という事実を知っていたことと、特別点という特殊なスコア計算があることを考えると「スピードを多少犠牲にしてでも不正解文字数を0または1に収めれば逆転しうる可能性が高い」と戦略を立てていました。本番ではいつもの90%ほどのスピードで打って、各行ごとにミスがないかをチェックしながら落ち着いて取り組んでいたと思います。

実際この戦略はびっくりするほど大成功で、予選1位、2位、4位の3人がだいたい同じ文字数を本番で打っていたのにも関わらず、予選1位、2位の人はミスタイプ規定で失格、自分が大逆転どころか2位と300点以上差をつけて大勝利という結果となりました。

逆に、どう考えても逆転しようがなく、それなりに正確性に自信があるなら文字数稼ぎに全力投球するという戦略になるかもしれません。

2点目はそこまで重要じゃないかもしれませんが、実は全国大会の本番直前に3分間だけ試し打ちの時間があるので、ここで何を打つかを考えず効率的に指ならしができるという利点があります。 この試し打ち時間は、初めて全国大会に参加すると「練習を開始してください、と言われたものの、なんの文章打ったらいいのかまったくわからない...どうしよう」と動揺してしまうケースが多いです。私はまさにこれでした(ここで使用するための課題文の持ち込みはたしかダメだったと思います)。

この3分間では、公認キーボード2種類のどちらを競技で使用するか、キーボードは正しく動作するか、椅子の高さやディスプレイは適切か、といったように本番に向けてコンディションを調整をする場でもありますが、やはり指はしっかり温めておきたいものです。

課題文の形式を把握して初見対策

自分が毎パソに参戦したときは課題文の内容がよく変更になっていましたが、ここ数年は以下のようになっています。

  • 第3部 英文A MainichiWeeklyなどより引用、高校の入試問題の引用 ...
  • 第4部 英文B 第6部の課題の英訳
  • 第5部 和文A (小学生低・中学年 & 小学生高学年) ことわざ・慣用句など
  • 第5部 和文A (中学生) News がわかるより引用、中学校の国語の教科書や同程度のレベルの文章の引用 ...
  • 第6部 和文B 毎日新聞の社説などより引用

特に、和文A小学生の「ことわざ・慣用句」、和文Bの「社説」は何年も変わっていないと思われます。 和文Aの中学生、英文Aの課題文はその時々内容は変わりますが、大きく文章の内容の語彙の難易度は変わりません。

したがって、和文Aの小学生部門では単純に「ことわざ・慣用句」あたりの語彙力を増やしておくことが重要です。それに続くことわざ・慣用句の意味の説明文も辞書などの引用だと思われます。

この形式を頭に入れていると、自宅にある国語辞典(小学生か中学生向け)を利用して、予選の課題文章の形式に合わせたオリジナル課題文章を自作して全国大会模擬練習するといったことが可能になります。

問題は和文Aの中学生部門、和文Bですが、第三者の方にその部門のレベルにだいたいあった文章を探してもらうという方法を自分は取っていました。 自分の場合、パソコン教室の先生にお願いして教科書の文章、小説文、随筆、評論文など、さまざまなテーマの文章をいくつかピックアップしてもらい、それを打ち込む練習をしました。これはかなり初見練習としては効果的だったと思います。 もちろん、課題文章は1回打ったら使い捨てではなく、打ち込むことでどんな変換ミスをしやすいのか、同じ単語が出現したときにどう変換すると効率が良いのかといったタイピング面だけではなく、文章を読むスピードの向上も期待できますし、全国大会特有の形式へ慣れることができて、本番で緊張感を抑えることができます。

毎日新聞を購読している方がいらっしゃれば、和文Bは新聞の社説を切り取ってもらうということもできそうですし、毎日新聞ではなくても別の新聞の社説を打ち込むということも有効な手段と思われます。 もう少し現代っぽいやり方としては、フリーのニュースサイトでそこそこ長めの記事をコピペして課題文とするという方法も有効そうです。

問題として自動的に正誤判定やスコア計算を行う方法がないということですが、文字数カウントツールや課題文を読み直し自分でカウントしてスコア計算をしてみることはそこまで困難ではないと思います。

過去の課題文章の後半部分を打つ

初見文章対策でいろんな人に文章を探してもらうといってもなかなか見つかりにくいかもしれません。そんな時は、過去に実際に使用された課題文のうち自分が打ち込んでいない後半部分を流用するという手があります。課題文章は必ず5分で打ち切れる量より圧倒的に長い文章を出題してくるはずですから、大半の人は課題文章の後半~終盤は打ったことがないはずです。

予選で使えるソフトに開始位置を指定の場所から開始できる機能があるはずですし、正誤判定も行ってくれるのでこれがかなり良い方法かと思われます。

英文特化:語彙を増やし文脈をふんわり理解する

英文部門は和文と異なり漢字などへの変換がありませんし、半角文字のため、ミスタイプしても非常に気づきにくいです。そのため、ある程度英単語やイディオムの知識を叩きこんでおくことが非常に重要です。

特に、本番で1行段ズレしたケースとしてはこのように語彙やイディオムを覚えておらず、ただ単にアルファベットの羅列として文章を認識しているケースが多いかと思われます。

もし頭に余裕があれば、なんとなくいま「こんな話をしているんだな~」と文脈もふんわりと把握しながらタイピングしていると致命的なミスは防げるはずですし、正確性も向上します。ちなみに自分は毎パソ大会全国大会のときも「ある程度意味を把握しながら打っていました」ときっちり地元の新聞記事の取材で発言しています。

おわりに

古い記憶を頑張って呼び覚まして執筆しましたが、毎パソの全国大会出場者自体の母数が非常に少なく、こういった記事もほとんどないかと思われます。 今後出場する方の参考になればとてもうれしいです!