けものみち

まったりと、きのむくままに。

PandA の現状とオンライン講義の展望

至極まともなタイトルですが、先日大学の Learning Management system である PandA (https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal/) に携わっている先生とアポをとったので備忘録(?)として記事にしてみることに。


背景

drakscake.hatenadiary.com

先日の記事において、ワークショップでオンライン講義質問システムを作ってみたと書いたが、これの延長。 班で講義の担当の先生にアポをとってみたところ承諾を得られ、滅多にない機会なのでグループの学生数人と講義の担当の先生と、PandA 担当の先生と1時間程度いろいろお話を伺ってみることにした。


現状

まず、PandA は先生目線の機能が多く、受講者目線のものは少ない。

教務でとったに PandA における意見としては、

  • チャット機能が匿名化されていないので参加しにくい
  • (課題の追加などが)自動で学生にメールで通知されない
  • 機能が複雑、多すぎ
  • 課題がどこで出されているのかがわかりにくい
  • どこかにいけばまとまった情報が見られるのが良い

といった意見があったそう。

では、なぜ学生目線で考えられた機能をつけることが難しいのか。

答えは至極単純で、「人と金が足りない」ことであった。

開発チームは担当の先生とOA (Office Assistant) の学生数人と非常に小規模な開発チームとなっているようだ。

学生だけでも学部1学年でおよそ3000人、全体で1万人超えるユーザがいるはずなのに、開発陣は自分の想定より遥かに少なかった。

また、本番システムは基本的に安定性優先なので、新しい機能をどんどん追加していくのは意外と難しいとのこと。オンライン講義期間中はおよそ 12,000 人がログイン状態にあり、安定性を求めると新機能の追加は厳しいらしい。


オンライン講義の展望など

Sakai

www.sakailms.org

PandA のベースとなっているのは Sakai というシステムである。 詳しい機能については公式サイトや Wikipedia などを参考にしてほしいが、世界の大学や営利団体が現在も開発を進めているプロジェクトである。2020年5月に最新版 Version 20.0 がリリースされている。

REST API の提供

panda.ecs.kyoto-u.ac.jp

すでに学生が拡張機能をつくっているなどの事例もあり、ある程度知られるようになってきてはいるが、 PandA 自体も API を公開している。

PandA Dashboard

PandA に点在している講義資料、講義課題、連絡といった情報をひとまとめにした Dashboard を現在開発しているそう。リリース時期などは未定のよう。

G Suite の利用

もはやオンプレミスで運用するんじゃなくて、既存のサービス利用しちゃえばいいのでは、というソリューション。

Hypothesis

web.hypothes.is

これは今回はじめて知ったプロジェクト。 ウェブ上のあらゆる場所にアノテーションをつけることができるようにする、というものだそう。

教育に関して言えば、例えば授業資料のわからないところにアノテーションをつけて学生と先生で共有するというのを非常に細かい粒度で行えるようになりそうだ。

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さっそく、Hypothesis の公式サイトで使ってみると非公式の Firefox 拡張があるとのアノテーションが。 この注釈機能は、自分のサイトでも有効化することができるので使ってみると面白いかもしれませんね。


まとめ

ヒトとカネがなければ世の中動かない。